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足が震えた


新水族館の建設が2か月遅れながらもその後順調に進んでいる。日に日に高くなりそして型枠が外され全体像が見えてくると図面で見慣れた規模よりもかなり大きく感じる。

現水族館屋上から見た新水族館。

現水族館屋上から見た新水族館。

 

定期的に写真を撮るために灯台に上がり見下ろすと「大きいなー」と声が出る。この頃何度か工事の現場に入ってみた。天井を支えるポールが林立していて身をかがめ頭を低くして、右に左にと体をかわしてポールを避けて入って行った。図面は見慣れていたが今いる位置を見失ってしまった。

足場のポールで奥が見えない。

足場のポールで奥が見えない。

 

あまりに多いポールが邪魔で見通しが全く効かない上に、暗いせいでそんな感覚になるのだろう。水たまりや穴を避けながら行く手にアザラシとアシカのプールが見えてきた。

思ったより小さかったが造りは立派だった。これまでの見慣れた古巣のプールとは比べようも無い。バックの擬岩はこれから工事に入るが、ちゃんと実物以上に本物に見える岩が取り付けられる事になっている。

これまで擬岩が無かったのだから、いよいよここも本物の水族館の仲間入りができるという事だ。貧乏暮らしが長かっただけにただ擬岩が出来ると思うだけでも喜びが込み上げてくる。ちょっと情けない話だがアザラシとアシカのプールを見てその最初にそのように思ったのだ。

さらに案内されて進むとアシカショウの所に来た。ここは特に力が入った造りをされている。舞台にあるプールとその向かい側にはコンクリート作りの雛壇が有ってゆったりとした観客席になっている。

足場の向こうに青いショープールが見える。左手には観覧席がある。

足場の向こうに青いショープールが見える。左手には観覧席がある。

 

同じショウでもここでやれば見る方だって楽しさが倍増するだろう。やる方の我が飼育係だって気持ちよく舞台に立てるはずだ。これは思った以上の施設になりそうだ。

更にぐるぐると足場を上りまた下りて、暗い通路を行くと「この辺りからクラゲの水槽になります」と云われた。「んだば5mのクラゲ水槽を見せてくれ」と頼んだら、さらに幅40cm程の狭い階段を上り切った向こうに「クラゲ大水槽」が口をあけていた。

上から覗いてみた。高さ5mの水槽がこれほど大きいとは思わなかった。挑戦することが必要だとは口々に言ってきたことだが、見下ろす高さに足がすくんでしまった。

高さだけではない奥行き1.5mも、幅の5mも思い描いていたものより実物ははるかに大きかった。「こんなに大きい水槽にミズクラゲをいっぱいに泳がせようとしていたのか。」

この水槽に傘の径がたった20cm~30cmのミズクラゲを一体何匹入れたら満足できる眺めになるのだろう。

5000匹か1万匹か・・・もっとか。声も出ないで見下していたらいつの間にか足が震えていた。「挑戦するにもほどがある。これは無謀といえるのではないか。とんでもない事に挑んでいたなー。」

ここを維持するために毎日何百、何千のクラゲを生産すればいいのだろう。季節が外れればもう捕まえてくるわけにも行かず、買って来るにも売っていない。どこかから分けてもらう訳にも行かない、失敗は許されないのだ。

今更後戻りも出来ないし、しゃにむにやり通すしかない。世界中の誰も実現したことが無い「クラゲ水族館」も、実は信じて付いて来てくれた若い者を「いばらの道に引きずり込んだ」のではないか。

恐らくこの建物は今後50年は使われ続けるだろう。恨まれる事も有るだろうが恐らくその頃は私も位牌になって仏壇に鎮座しているだろう。もしも「位牌ががたがた動いたら」あの世で詫びていると思ってもらう他無いな。

 

 

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