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やっぱり釣りは面白い

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退職して半年になろうとしている、ついこの間全職員に見送られながら花束を抱いて古巣をあとにしたのが昨日のような気がする、まあ何と言うかこんな調子で時間が過ぎてゆけば、めっきりしわが寄った我が身もままならなくなるのも意外と速いかもしれない。

 
去年の2月に退職を勧告されてからまさに激動の1年を送ったが、その日が近ずくに従い引退するのが楽しみに見えてきていた、やはり75歳という年齢は現役の仕事を続けるには肉体的に少々くたびれるのだ。

加茂の北防波堤で イサダを播いてメバル・アイナメ・タナゴを釣る。これが面白い。

加茂の北防波堤で
イサダを播いてメバル・アイナメ・タナゴを釣る。これが面白い。

 
辞めれば翌日から毎日が日曜日になって責任の2字から解放されるのだ、自由の身になったらまた釣りをしよう、海もいいがやはり一番心が休まるのはイワナやヤマメのいる渓流に分け入って自在に竿を振っているときだ。

 

木々に覆われた流れに入り込んで昔使った細身で軽い竿を使うのがいいだろう、年を取って力が衰えた手には腰の強いしっかりした渓流竿は重く感じられる、軽い分だらつくが振り込む技術は衰えていないはずだから支障はないだろう、釣れれば竿が大きく曲がり手ごたえがある。

 

いつもこんなことを考えながら退職の日を心待ちにしていた、いうなれば雨雲の向こうが明るく陽が謝している感じだった。

 

11月の末に海岸に近い山に入って栢(かやのき)木を7本とってきた、表皮をはいで節の左右から出た枝を丸めれば渓流で使うタモになる、イワナやヤマメを掬ったりエサの川虫を捕まえるのに使うのに適している。

 

用を足すだけなら釣具屋で売っている600円の安物で十分だが、これからの釣りは数を追うのではなくいかに楽しむかが肝心なのだ、自作の格好いいタモをぶら下げて沢を歩くと思っただけで楽しい気持ちになれる。

 

冬の間中タモつくりに熱中して網までも一針ひと針縫い合わせて作り、7個も完成させたのだからやはり退職後の釣りにはせた思いは膨らんでいたのだろう。

平成元年頃。 釣ってきたイワナを前に

平成元年頃。
釣ってきたイワナを前に

 

 

好きな者は4月の解禁を待ちかねてイワナ釣りのスタートになるが、私はすぐには始めない、これも何十年もイワナやヤマメを追い回した経験がそうさせるのだ、あの美しい渓流の魚も前年の産卵のくたびれが残って体は痩せて肌には黒く錆が残っている。

 

雪解けの増水の中でしこたま餌を食べて次第に太ってゆけば、5月の末には本来の見とれるほど美しい姿になってくれる。

 

奥山に入る体力はなくなっているから数釣りは捨てている、何よりも釣ったイワナを手に持ったときの感動がほしいのだ、そしてあのずるがしこいイワナやヤマメを短時間で楽をしながら釣って余韻を残しながら帰ってくるのが良いのだ。

 

解禁にはなっても4月は山にはまだまだ雪が有って入れない、そして海の釣りもまだとなれば近くの入りやすい川に、何度も何度も釣り人がやってきてはわずかな魚を釣ってゆく、、、、とどうなるか、イワナ、ヤマメは馬鹿な魚ではない、目もよく考える力もかなりのものだ、こうしょっちゅう脅かされては安心して流れに出てエサを追うわけにはゆかない。

 

大きな石の奥や、木の根の陰に身をひそめて静かになるのを待っているのだ、この沢は魚が居ないじゃないかと勘違いするほど釣れない。

 

ずる賢くなったイワナやヤマメを楽に釣るには、雨で増水した日に釣るという手がある、うす濁りが喰いを立たせているから針に餌をつけて流してやればびっくりする程我先に食いついてくる。

 

今年は5月の20日ごろから雨を待っていたがしかしなかなか降ってくれなかった、まるで私が昔岩魚を釣りすぎたのを恨んででもいるように、その日が来なかった。

 

いつでも行けるように釣り具から着替えの上下、フェルト底の長靴、それと自作のタモが車に積んであった。びくは昔使った特性の発泡スチロール製のがまだそのまましまってあった。

 

準備は出来ていたやっとまとまった雨が降った、夜通し降った雨は強かったからおそらく大山川はかなりの増水で川幅も増しているだろう、いつもより長い竿が良いだろう、6,3mのハエ竿を持った。

※写真は岡部夏雄氏の撮影による、赤川では巻き網でサクラマスを取るグループが何組もあって、昭和40年ごろまで年間合計3000匹以上もサクラマスが獲られていた

※写真は岡部夏雄氏の撮影による、赤川では巻き網でサクラマスを取るグループが何組もあって、昭和40年ごろまで年間合計3000匹以上もサクラマスが獲られていた

 

 

まるで昔イワナ釣りに目覚めて休みが待ちきれず、毎日早朝に釣って出勤していたあの頃に戻ったようだった、30分の道が遠かった坂之下集落で車を止めた。

 

沢の土手に軒先が届くほども川沿いに一軒の家が建っていた、この家が懐かしい、裏に回って竿を出した、エサはカゲロウの幼虫を使った、ハリスは1号でいい錘も大をつけた、この水具合ならいれば見境なく食いついてくるはずだ。

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ここは結構いいやつが釣れたところだった、深みの中ほどに石が見えた前と変わらぬいいポイントが出来ていた、竿は6,3mのハエ竿だった腕を伸ばして振り込み竿は水平、糸は垂直に流していった。 その第一投目目印が止まりそのまま流れに押されて水中に没した、竿先に小刻みに当たりが来ていた、大きく合わせをくれてみた、あら嬉しやがっちりと針掛かりした、結構いいやつのようだ細竿が引き回されている。

 

手ごたえを楽しんだ後に引きぬいた、白く光る魚体が水面を切って目の前に着地するわずかな時間が夢のようだった。

 

渓流釣りの素人じゃあるまいし、5万とも6万とも思えるほど釣ったこの自分が、たった8寸のイワナに感動していた、中学1年の夏に初めてサクラマスをヤスで刺したあの夢心地といえば良いのだろうか、75にもなった自分をこんなにも感動させてくれるとは釣りは良いものだとしみじみ思った。

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